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依存しきった心と

アナグラへ帰投してすぐ、トオルは医療班に運ばれていった。未だ目覚めず、またまさか自分のクローンに会ったからと言えるわけがなく。それに、老人の言葉。

「でもやっぱ心配だし、探ってくるよ」

そう言ってコウタは宛がわれた部屋の換気扇から出ていった。そして一人きりになって思い出されるのは、ヘリの中の、トオルのうわごと。



『トオヤ……トオヤ………助けて………』



助けを求めるのは以前に救われたからだ。なら、トオルは何から救われたのだろうか。死んでもなおトオルの精神に深く根付くトオヤは、何者なのだろうか。それに思わず伸ばされる手を掴んでしまったら、一瞬だけ起きて、【トオヤ】と呼ばれたことに、思えばトオルは最初から自分を誰かと重ねていた節があった。無意識にその人物を求めていたような気がする。

「………言っていたことは、本当だったな」

一人ぼっちの彼女の傷は深く痛々しいものなのだ。





「アリサ?!」
「…………」
「まったく、あなた方なにやってんですか」

次の日、アリサがやってきた。



「どうして来たんだ?」
「本部から要請があったんです。既知の知り合いなら新型感応があるかもしれないって………本部の新型とは感応が起きなかったみたいですね」
「あ、忘れてた………」
「やっぱりですか――――もっともトオルさんは完全に心を閉ざしてしまっているようで過去がばれなかったようですけど」

「あぁ、そうそう。これをサカキさんから預かってきました」

そう言ってアリサが差し出したのは、今や高級品のノートパソコン。

「すっげー!これ、めっちゃ高いシロモノだぜ」
「部品さえあれば買うよりも作った方が安いそうですよ」
「………なんでも出来んだな、博士」
「で、これをどうしろって言った」
「独自の回線によって傍受・傍聴される危険性がないので、これでなにがあったのか連絡するようにとのことです」
「………何があったか、か」
「とりあえず分かっていることだけでも知らせるようにと。お願いしますよ!」

本部側の迎えがやってきたので、アリサとは一旦別れることとなった。二人はノートパソコンを持って部屋へと戻り、ご丁寧に添えてあった説明書を見ながら起動させた。





『なるほど、なるほど………』
「トオルと老人の間でどんな内容の会話があったのかはわからんが、トオルがショックを受けたのは間違いない」
『まぁ予想に難しくないことだね。おそらく研究がまだ続けられていたことだろう………それから、【トオヤ】というのは?』
「オレが聞いたのは、生涯お父さんと呼ぶ人だって」
『その人物についても少しこっちで洗っておこう』
「ちょっと待った!」

回線を切ろうとするサカキに、コウタは慌てて呼び止める。

「さっきさ、ちょっと偵察に行ってきたんだけど」
『おや、勇気がありますねぇ』
「やっぱりトオル、調べられたみたいなんだけどさ、結果が」
『普通のゴッドイーターと変わりない………でしょう?』
「どういうことだ………?」

本部長室まで盗み聞きしに行ってきたコウタの話では、トオルの細胞は他のゴッドイーターと比べて数値がやや高めであって、どこも異常は見当たらなかったという見解だったのだ。

『そりゃそうさ。私がおかしいと感じたのは保護時のメディカルチェックでのことだから』

『そもそも適合が高いとは、どういうことかわかるかい?全ての細胞は元が一つの細胞から生まれたという。つまり、どの細胞もどこかしら繋がりがあったり、似ていたりするのは当然なんだ。では、オラクル細胞は?これは元は微生物であったが、急激に大きな一個体になっていった。そして細胞は肉だよ。アラガミを斬ったり撃ったりした時も君たちと同じように血が出るだろう?つまり、動物とも言えるのだよ。そして人間もまた、動物である。ではこれを踏まえて、適合とはどういうことか?』



『適合者の細胞が、オラクル細胞と似ている部分がある、ということだ』





『それでは、よろしく頼むよ』

病室のベッドには、青白い顔をして眠っているトオル。タクヤも二年前、今の自分と同じような気持ちなのだろうか。

この、拒絶された気持ち

感応は、正直怖いときもある。自分の恐怖や不安が、相手に不快感を与えないか、と。
だから深呼吸をひとつして、そっと手を握った。

そして流れ込む映像





見上げる白衣の大人達
それらを見下ろすワタシ
向かい側には同じ姿のワタシ

『今日で三年目ですが………どちらを取り出します?』

イヤ!
出さないで!

まだダメなの
怖いよ!

ワタシはイヤよ
あっちにしてよ

出されるワタシ
崩れたワタシ




あぁ、ワタシでなくて

よかった――――





「ああああぁぁぁああっ!!!」



『鎮静剤を早く!』

数人の看護師がトオルを押さえつけ、鎮静剤を投与する。それでもしばらくは暴れていたが、やがて大人しくなってまた眠りについた。

『で、どうだったかね?』

まるで何事もなかったかの如く。いまのが、彼女に精神的な苦痛を与えたことに、意にも介さないのか。





『そうか………』
「一応、崩落事故で亡くなった家族が見えたと言っておきました」
『懸命な判断だね』
「…………トオルさんは、」

「自分が生き残りたいから、他の人が逝けばいいのにと願って事実、叶い喜んだことに酷い罪悪感を持っています」

他人の不幸を願い喜んでしまったことを後悔しているのだという。

「外に出るようになって、沢山の感情を知って、それがどれだけ残酷なのか思い知ったんです。それを諭してくれたのが――――タクヤさん」

手を振りきられる一瞬に見えた映像。優しい微笑みを向ける男性の姿があった。

「そんな自分を赦してくれるから、依存の対象になっているんです」
『彼女には二重の苦しみがあったというわけか…………』





トオヤ

トオヤ

助けて

怖いよ

私はこれから
誰のために

生きていけばいいの?

「トオル、違う」

否定しないで

拒まないで!



『トオル・シノサキはどこに行った?!』





夜中に叩き起こされたのは、トオルが病室から消えたということ。コウタもアリサも捜索に駆り出された。
アナグラの作りは大体同じだ。だから隠れられそうなところは沢山あるのはわかりきっている。すぐに見つかってしまうことも。余計に見つからないことが不思議なくらい。
しかし無駄に日がな一緒にいたわけではない。ソーマはすぐに見当がついた。





「…………おい」
「あは、見つかっちゃった」

いつかの時もこんな風であった。屋上のヘリポートのど真ん中にトオルが寝そべって、出入り口で呼びかける。

「心配した?」
「わかってるなら聞くな」

ソーマがこんな風に返事を返すのはかなり珍しい。極東の誰かがいたら目をまん丸に見開いたであろう。

「ごもっともでー」

最後にあったのが半狂乱だったとは思えない。変わらずにこやかに笑っている。

「よいしょ、と」

ビル風にたなびく病服がなんとも不思議だ。

「ご心配かけました」

と言いつつも、上半身を起こしただけで動こうとしない。だから、彼女の気がすむまで待っていることにした。





「――――ごめん」
「………何が」

背後からトオルの謝罪が聞こえてきた。あと少し近寄れば背中がくっつくあたりに座っているからだ。

「ソーマの声ってね、トオヤに似てるんだ。だから安心するの」
「…………」
「私が安心するから側にいるって言ったんだ」
「………そうか」
「それに雰囲気も似てる――――大事な人をなくした哀しい目」
「!」
「自分のせいだと思い込んで後悔ばかり。そんなこと、ないのに。どれだけ強くて優しいか私は知ってたし、知ってるよ。だから側にいたかったし、側にいたいんだ」


「証明したい。私がどれだけ救われているか」




「だから邪魔しないでくれませんかね、マルドゥク・ゴーランド」

長く白いコートをはためかせながら、ゴーランドが近寄ってきた。





「変だと思った。あの研究が露呈することなんてないから、どうして私に固執するのかって………アリサとの感応でようやく思い出した。貴方、いたわね。あの研究所に」
「いかにも」

「我々人類は、進化しなければならないのだよ。人類は日に日に危機に面しているのだ!」
「もうじき新旧の新人が大量入隊するんだろ。それが人間の進化とはいえねぇのか」
「遅すぎるのだよ!アラガミの進化は出現当初から目まぐるしい。かつての生物を上回る。人間は15000万年前からでやっとここまでなんだ。追い抜かされたんだっ」



「『だからお前はいつまでも助手なんだ』」



「なっ」

深々と呆れたようにトオルはため息をついた。

「わかる気がする。だって、固定観念に縛られてるんだもの」
「考え方が古いっつーわけだな」
「あのね、進化を目指したいなら道具を作りなさいよ。人間は道具を作り始めたから進化したんでしょう。人間の進化とは、そういうものでしょう?人間じゃなくて道具を進化させろ!今の状況と人間の能力に見合った物を!!」

優れ過ぎた道具は人の能力をおとすだけ。逆に劣りすぎた道具は人の能力を変えない。

「貴方は私を、哀れんだじゃない………」
「………っ」

オリジナルにまんまそっくりになるよう操作され、教え込まれるその姿が痛ましくて逃げ出した。
どうしてその心を忘れてしまったのだろう。

「みんな生き残りたい。生きて、誰かと幸せになりたい。安全に暮らしたい………人が生きる意味を見失うような実験をしないで」
「……………」

ゴーランドはきつく目を閉じて身を翻した。その背を向けたまま口を開く。

「人類は進化しなければならない…………アプローチの仕方は様々だというわけか」

そのまま出入り口に向かって、この場から消えた。
しかしすぐその扉は開かれる。

「トオルっ」
「トオルさん!」

コウタとアリサが猛ダッシュでトオルに飛びかかった。

「大丈夫か?」
「さっきゴーランドが………」
「大丈夫だよー。ね」
「…………………そうだな」
「もう平気だよ、絶対」

不審げな表情をすり二人の背中を押す。

「さぁ、もう結構いい時間だからさ、寝よう?ごめんね、探させて」
「そんなことないですよ」
「仲間だろ」
「うん、ありがとう!」





ねぇ、早く極東支部に帰りたいな
伝えたいことがあるんだ

死んじゃった大好きな人にもう会えないなんてないこと
思い出せばいつだって会えること
そして今いるみんなも、大好きってこと

私は幸せなんだね
初めて思ったよ





ここに生きていて、よかった





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