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幸せってなんだっけ

「そこで!」

右手に持っていたナイフを天井に向けて軽く振る。それを危ないからとりあえず下ろせとソーマが言った。

トオルとソーマは遅めの昼食をとっている。しかもお互いかなりボリュームがあるものだ。
さておき。

「皆の幸せってなんだろなーって思ったの。だからソーマの幸せってなに?」

トオルの幸せは人と話すことだと聞いたことがある。ということは今このときも感じているのだろうか。

「………そうだな」
「なになに?」

瞳をキラキラさせているが、そんな期待するものではなかった。

「今のところは、次の任務時間までにお前が食べ終わってくれることだ」
「へ」
「ツバキに怒鳴られるのは俺だからな」
「!」

そう言うと慌てて食事を再開するトオルに、思わず苦笑した。





しかして正直、ソーマは言葉通りその日暮らしであった。与えられた任務をこなし、誘われた任務を気まぐれに行って、消耗品が少なくなれば買ったり採りに行ったり。それと食事以外特に使うこともないから溜まる一方だが、さして興味もない。

(まぁ最近は危なっかしいヤツがいるからそうでもないがな………)

その人物――――トオルは勢いよくグボロに突っ込んでいって「魚の姿焼き大会だー!」と叫んでいる。その後ろにもう一体のグボロが近づいているのだが、気づいていない。

「………ったく」

ソーマも駆けていった。





「で、ソーマの幸せってなんなの?」

ソーマが運転するカーゴの助手席ち座っているトオルが諦め悪く聞いてくる。

「お前が後方不注意と猪突猛進を直してくれることか」
「うっ」

後ろから近づいてきたグボロに気づかなくて、危うく氷の大砲に直撃するところだったのを、ソーマが寸前で装甲を開いて難を逃れたのであった。

「だってソーマがいるから絶対フォローしてくれると………ってそうじゃなくて!私は真面目に聞いてるのっ」
「んなもん……………感じたこともなけりゃ考えたこともねぇよ」
「本当に?」
「俺の過去のこと、ちったぁ聞いてるだろうが。それにこのご時世で、出来るか」
「でもコウタは家族や私たちが生きてることが幸せだって言ってたし、アリサとかタクヤとかリンドウさんとかサクヤさんとかツバキさんとか………」
「わかったから」

そのまま放置したら延々と名前の羅列を聞かされそうだったので、とりあえず止める。

「ねぇ、ソーマ?きっとそんなことはないのよ。向き合っていいんだ。だって、人間だもの」
「!」
「人造人間だろうと、合の子だろうと、私は喜怒哀楽ある人間だと信じてる。ってわけだから、そこ右行って」

車はもう外部居住区へと入っており、もうじきでアナグラへ着くというころだった。

「帰投予定時間を過ぎる」
「予定は未定ってねー。そんな時間かかるようなことじゃないよ。はい、曲がる~」
「わかったからヤメロ馬鹿!」

ハンドルを横からいきなり操作しようとするものだから、ソーマはらしくなく思わず動揺した声を出してしまった。それをカラリと笑い飛ばすトオル。

(まさか誰かに振り回されるとはな………)

それも年下の、異性になんて少し前ならこんな状況無言か鼻で笑い飛ばすかしただろうに。とはいえ嫌な気持ちはしなかった。





トオルの指示で着いた場所は、孤児院だった。沢山の子供たちが元気に遊んでいる。しかし一人の子供が、

「あっトオルだ!」

と気づくと遊具や遊びを放り出して駆け寄ってきた。

「トオル今日のおみやげは?」
「それより遊んで!」

遊ぼう遊ぼうと押し合い圧し合い引っ張りだこ。

「ごめんね、きょうは院長さんにお話があって寄っただけなの。遊ぶのはまた今度ね」
『えぇ~~~っ!』
「かわりに私が戻ってくるまではこのオニーサンが遊んでくれるって」
「何を『わぁ~い!』」
「そんなに遅くはならないから~♪」

言いつのろうとするソーマから逃げるようにそそくさと建物内に入っていってしまった。
下を見下ろせばキラキラと期待に満ちた眼差しがたくさんあって。

『お兄ちゃん遊んで!』





トオルの指示で着いた場所は、孤児院だった。沢山の子供たちが元気に遊んでいる。しかし一人の子供が、

「あっトオルだ!」

と気づくと遊具や遊びを放り出して駆け寄ってきた。

「トオル今日のおみやげは?」
「それより遊んで!」

遊ぼう遊ぼうと押し合い圧し合い引っ張りだこ。

「ごめんね、きょうは院長さんにお話があって寄っただけなの。遊ぶのはまた今度ね」
『えぇ~~~っ!』
「かわりに私が戻ってくるまではこのオニーサンが遊んでくれるって」
「何を『わぁ~い!』」
「そんなに遅くはならないから~♪」

言いつのろうとするソーマから逃げるようにそそくさと建物内に入っていってしまった。
下を見下ろせばキラキラと期待に満ちた眼差しがたくさんあって。

『お兄ちゃん遊んで!』





「どうだった?」
「手くせが悪すぎる」
「あら、だって。あの子達は元素材回収人だもの。チームワークもよかったでしょ」
「………ふん」

一切息切れせずに車を運転する。
身軽さとすばしっこさと、チームワークの良さでなかなか捕まえることが出来なかったあの遊びに、終止符を打ったのはトオルだった。飛び交っていたタイピンを空中でキャッチしたのだ。

「はい、もうおしまい」
「えぇ~っ帰っちゃうの?」
「遊ぼうよ!」
「ごめんね。次もこのオニーサンも連れてくるから」
「ホント?!やったぁ!」



「――――素直な目をしていたでしょう?」

全身で真っ直ぐ体当たりしてくる子供たち。

「子供って素直なのよ。不思議なものでね、自分にとって害があるかないか直ぐにわかっちゃうのよ」

ソーマがチラリと横を見ると、トオルが穏やかな表情でこちらを向いていた。

「正直で、とっても素直。………実感出来た?」

人間なのだ、と

「それにね、人間というのは誰かに対して優しく出来て、愛すことが出来ることよ」

愛に関しては、残念ながら家族愛と友情愛しかまだわからないけど、と付け加えた。



「全部トオヤに教えてもらったの」





また【トオヤ】

「お前………生涯『お父さん』と呼ぶ人とか言ってなかったか?」
「ん、あれ?またトオヤって言ってたか………クセ抜けないなぁ」
「クセなのか?」
「お父さんって言ってたのは家の中だけの、ハルカがいない時だったからなぁ」

なんでもハルカは父として認められなかったのだという。それはそうであろう。どんなに嫌っていても愛されていたのは確かなわけで。

「私だけお父さんって呼ぶのは変だからね。もう無意識に遠慮しちゃうんだぁ」

寂しそうに微笑った。

「難しいね………」




いつか
トオルが遠慮せずに自然体でいられるような
そんな存在になれたら

多分――――





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