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彼が優しいワケ
第五部隊はウロヴォロス堕天二体を討伐して帰投したら、エントランスがとても騒がしかった。
「アリサ、何かあったの?」
とりあえず出撃ゲートに一番近かったアリサに近づいてトオルが聞いた。
「さっきお客さんが来たんです」
「お客さん」
繰り返すとこっくり頷く。
「金髪の、とっても綺麗な女性です」
「あぁ、だから男だけ騒いでんのか」
とはいえタツミは相変わらずヒバリを口説いているが。
「で、その方が、ソーマさんとお会いになりたいそうで………ツバキさんが支部長室へ来るようにと」
「えーっ!?ソ――――がぼっ」
コウタの叫び声を止めたのは気配を消して近づいてきたタクヤだった。
「余計な噂作るようなこと言うな、バカ………っつーわけだ。行くよな?」
なんとも複雑な表情をしているソーマに問いかける。というよりも脅迫に近い口調だ。
「その人、会いに来てくれたってことだよね?ねぇタクヤ、他の人は行っちゃダメなんて言ってた?」
「いや、何も。むしろ嫌がったら無理矢理にでもって言われた」
「ねぇソーマ。ここで引きずられて妙な話になるのと、素直に行くのとどっちかいいか、わかるよねっ」
満面の笑みで正論を吐かれたら何も言うことは出来ない。
「…………ハァ」
結局この場にいた五人で向かうことになった。
「おお、美人さんだー」
綺麗な金髪は大きくカールを作っている。黒目は光の加減で濃紺にも見え、パッチリとした目だ。容姿とプロポーションもバツグンに良く、だからといっていやらしさを感じさせない。第二ボタンまであけられたシャツには銀で出来たネックレスが見え、白い肌によく映える。身にまとうダークグレーのタイトなスーツは彼女の曲線美を大いに引き立てる道具だ。
「………………ジュビア」
「あらぁ、ソーマ!随分なご挨拶ねぇ~」
そして見かけ同様、さっぱりとした性格のようだ。
「では改めて、初めまして。ジュビア・メイザースよ♪ソーマの育ての親なの」
「育ての親ぁ?!」
「にしては随分と若い………」
「どこがだ。こいつは今年で「ソーマ、女性の年齢を勝手に言ってタダで済むとでも思っているのかしら?」」
ジュビアの台詞で殆どが聞こえなかったのだが、耳が他よりいいトオルはしっかりと聞き取っていた。
「よんじゅうろく………!?」
『!!!?』
「あらやだ、恥ずかしい」
どこからどう見ても二十代。多く見積もっても三十代前半がいいところだと思っていたのだが。
「お、お若いっすね;」
「リンドウ君だったかしら。顔がひきつってるわよ☆」
「今回はソーマに会いに来ただけですか?」
衝撃の事実から数分後、ようやく立ち直ったサクヤが言った。
「うふふ、鋭いわね」
一般民が各ハイブを行き交うことは決してない。たとえ燃料がオラクル技術によって作られていても旧時代に比べたら、少ないのだ。
「極東の医療整備士に会いに来たのよ。極東の整備士は一番腕がいいから勉強するためにね。それに新作はみんな極東だからそれについても。あ、私も整備士なの」
「そういうわけで彼女は三ヶ月ほどここに屯留する。だからソーマ、顔馴染みのお前が気を配ってやれ」
ツバキが締めくくった。
「ここがジュビアさんの部屋になります」
「ありがとうね。荷物まで持ってもらっちゃって」
「なんのなんの。お安いご用ですよー」
ジュビアはトオルを部屋までの案内に指名した。ソーマでないのは、ジュビアが腕を痛めていると見抜いて病室に行くよう言ったからである。トオルはそれに感心したものだった。ともかく指名されたので連れてきたわけなのだ。
「えーっと、足りないものがありましたら、ツバキさんに言えば用意してくれると思いますよ」
「わかったわ。何から何までありがとう」
「いえいえ、そんな」
ツバキとは違う、年上の女性からのお礼に照れてしまう。
「ねぇトオル」
「はい、なんですか?」
「わたしとお茶しない?」
ヤカンがコンロの上に置かれる。
「ヨハネスとアイーシャ、ペイラー………ソーマの両親とサカキとはね、とても仲が良かったの」
ジュビアは先ほどとは打って変わって静かな口調で語り始めた。
「三人とは分野は違えど研究者として尊敬しあってた。ひた向きで前向き。少しでも人間が安全に暮らせるようにと………」
「だから、私が別のハイブへ巡回に行っている間にアイーシャが死んだって聞いた時はびっくりして――――悲しかった」
「慌てて戻ってみたら研究所は全壊。生き残ったのはヨハンと、ソーマだけ。もうその時からね。ヨハンはソーマに背を向けていた」
問い詰めた。何をしたのだと。なぜ、子供に背を向けているのか。
何も答えないヨハネスの頬をひっぱたいた。
ぎゃあああんっ
切なく痛ましい泣き方だ。ジュビアも悲しくなった。
母親を求める絶望の泣き声だったから――――
「ヨハンは研究を止めた。そしてペイラーを呼び戻し、私にソーマを預け自分は準備を始めた…………アーク計画を」
「アーク計画………」
ここに来る前のことだ。月が変化した大元の大事件。秘密裏に隠蔽されたその事件は、大まかな部分しか教えて貰っていない。
アリサの部屋に白い少女の写真が飾ってあったから、聞いてみたらそんな話だったのだ。
「マターナル・デプリベーションって知ってるかしら?」
「いいえ」
「心理学用語でね、【母性的養護の喪失】という意味なの」
「母性的養護の喪失…………?」
「ヒトは生後18ヶ月の内に母親との間に愛着を持たないと心身に遅れが起きてしまうの。そして旧時代によくみられたのだけれど、サイレント・チャイルドという、感情の起伏がない子供になってしまうの………だから私は母親代わりになった。姉のように慕っていたアイーシャの子供だもの、健やかに育ってほしかった」
「ヨハンはありがたがったけどね。でもそれは実験を効率よく進めさせるため」
ソーマについての研究が始まってからは誹謗中傷の嵐。嫌がられたらその分遅くなる。だから唯一の逃げ場さえあれば我慢し、何事にも耐えられるだろうと思ったのだ、ヨハネスは。
「けれどあの子といられたのは五歳まで。それからは連絡さえもとらせてくれなかった」
「そんな酷い!」
「だからね、聞かせてほしいの。あの子はどんな風なのか」
「え、でも………私は」
まだ来たばかりの自分より、もっと適任はいる。サカキや、リンドウとか。
「随分親しげだったからてっきり付き合いが長いのかと………でも、いいの。貴女から聞きたいわ」
そう、優しい微笑みで促されたので、ややしどろもどろになりつつも語り始めた。
「私ちょっと訳あって、来たばかりの時は人を避けてました。ほとんどの人が私の扱いをもて余していた中で、ソーマは他の人と変わらない態度をとってくれました」
一歩引きぎみだった周囲の中で一番適度な距離。最も、それがソーマの普通だったのだが。それに、ソーマもその距離に安心していたことを、トオルは知らない。
「でも私が危ないことをしようとするのに、真っ先に気づいて止めてくれて、今までずぅっと守ってくれました」
「だから、そんな優しい人が………【死神】だなんて言われることが凄く、悔しいです」
誰よりも周りに気を配って、さりげなく他人を守って。そのあまりにもさりげなさすぎて、気づかなかったりしてしまう。トオルは大体後から気づいて、礼を言うのだが、きっと死神だなんて言う奴は気づいていないのだ。彼の優しさに。
「よかった………」
アイーシャからいつも聞かされていた。
『こんな時代だからこそ、愛する人とどんなときでも相手を思いやれる子供を育てたい』
人々の心は、現在の大地のようにすさんでいる。常に死の影がちらつくからだ。娯楽もほとんどない。職業だって限られている。夢なんて本当に夢幻だ。
難しいかもしれない
でも不可能ではない
だから、
「ちゃんと育ってくれてよかった………」
突然ソーマと引き離された。顔も知らない男たちに引っ張られるように連れていかれるなかで、絶望の表情のソーマが、昨日のように思い出せる。
『私は絶対に死なないから、だから忘れないで。私がソーマを愛していることを!』
だから忘れないで
人を思いやることを
ふと、意識を目の前に戻すと、トオルは泣きそうになっていた。
「っでも………!」
「ソーマは幸せね」
「………?」
「自分のことで、泣きそうになるくらい思ってくれる人がいて――――さっき集まったときもそう。気さくに接する人が沢山いたじゃない。それに、他にもいるでしょう」
「います………」
「あのね、どんなに外野がウダウダネチネチ言っても、気の許せる人がいたら、それだけで救われるものよ」
「………そうですか?」
「そういうものよ」
皆がみんな、分かりあえるものではないから。せめて身近な人だけでも、分かりあいたい。
それがヒトであると、ジュビアは思っている。
「…………お母さんってこういう風なのかな」
トオルが呟いた。
「知らない?」
「よく、わからないんです。でもお母さんの存在に憧れます」
「そう………私もトオルみたいな娘がいたら嬉しいわ」
むしろ、なっちゃう?
「?ジュビアさんはソーマのお母さんみたいなかんじでしょう?」
「ははぁ、こりゃソーマに頑張ってもらわないとダメねぇ」
「???」
「こっちの話よ。ねぇそれよりも、敬語やめない?日本語の敬語は慣れなくて」
「あぁ、英語とか外国は敬語とかないですもんね」
「そうそ。なんかムズムズするから、むしろお願いかな」
「えぇっと、じゃあ………しばらくよろしく、ジュビア」
「よろしくね」
色々と
特にあの子とか、ね
優しいあの人は
優しい雨に降られていた
私も彼に思いやりを降らせてあげたい
彼がしてくれたように――――
あとがき
ソーマの過去捏造にも程がある
けど楽しかった!
Lluvia
スペイン語で【雨】
【ジュビア】と読みます
「アリサ、何かあったの?」
とりあえず出撃ゲートに一番近かったアリサに近づいてトオルが聞いた。
「さっきお客さんが来たんです」
「お客さん」
繰り返すとこっくり頷く。
「金髪の、とっても綺麗な女性です」
「あぁ、だから男だけ騒いでんのか」
とはいえタツミは相変わらずヒバリを口説いているが。
「で、その方が、ソーマさんとお会いになりたいそうで………ツバキさんが支部長室へ来るようにと」
「えーっ!?ソ――――がぼっ」
コウタの叫び声を止めたのは気配を消して近づいてきたタクヤだった。
「余計な噂作るようなこと言うな、バカ………っつーわけだ。行くよな?」
なんとも複雑な表情をしているソーマに問いかける。というよりも脅迫に近い口調だ。
「その人、会いに来てくれたってことだよね?ねぇタクヤ、他の人は行っちゃダメなんて言ってた?」
「いや、何も。むしろ嫌がったら無理矢理にでもって言われた」
「ねぇソーマ。ここで引きずられて妙な話になるのと、素直に行くのとどっちかいいか、わかるよねっ」
満面の笑みで正論を吐かれたら何も言うことは出来ない。
「…………ハァ」
結局この場にいた五人で向かうことになった。
「おお、美人さんだー」
綺麗な金髪は大きくカールを作っている。黒目は光の加減で濃紺にも見え、パッチリとした目だ。容姿とプロポーションもバツグンに良く、だからといっていやらしさを感じさせない。第二ボタンまであけられたシャツには銀で出来たネックレスが見え、白い肌によく映える。身にまとうダークグレーのタイトなスーツは彼女の曲線美を大いに引き立てる道具だ。
「………………ジュビア」
「あらぁ、ソーマ!随分なご挨拶ねぇ~」
そして見かけ同様、さっぱりとした性格のようだ。
「では改めて、初めまして。ジュビア・メイザースよ♪ソーマの育ての親なの」
「育ての親ぁ?!」
「にしては随分と若い………」
「どこがだ。こいつは今年で「ソーマ、女性の年齢を勝手に言ってタダで済むとでも思っているのかしら?」」
ジュビアの台詞で殆どが聞こえなかったのだが、耳が他よりいいトオルはしっかりと聞き取っていた。
「よんじゅうろく………!?」
『!!!?』
「あらやだ、恥ずかしい」
どこからどう見ても二十代。多く見積もっても三十代前半がいいところだと思っていたのだが。
「お、お若いっすね;」
「リンドウ君だったかしら。顔がひきつってるわよ☆」
「今回はソーマに会いに来ただけですか?」
衝撃の事実から数分後、ようやく立ち直ったサクヤが言った。
「うふふ、鋭いわね」
一般民が各ハイブを行き交うことは決してない。たとえ燃料がオラクル技術によって作られていても旧時代に比べたら、少ないのだ。
「極東の医療整備士に会いに来たのよ。極東の整備士は一番腕がいいから勉強するためにね。それに新作はみんな極東だからそれについても。あ、私も整備士なの」
「そういうわけで彼女は三ヶ月ほどここに屯留する。だからソーマ、顔馴染みのお前が気を配ってやれ」
ツバキが締めくくった。
「ここがジュビアさんの部屋になります」
「ありがとうね。荷物まで持ってもらっちゃって」
「なんのなんの。お安いご用ですよー」
ジュビアはトオルを部屋までの案内に指名した。ソーマでないのは、ジュビアが腕を痛めていると見抜いて病室に行くよう言ったからである。トオルはそれに感心したものだった。ともかく指名されたので連れてきたわけなのだ。
「えーっと、足りないものがありましたら、ツバキさんに言えば用意してくれると思いますよ」
「わかったわ。何から何までありがとう」
「いえいえ、そんな」
ツバキとは違う、年上の女性からのお礼に照れてしまう。
「ねぇトオル」
「はい、なんですか?」
「わたしとお茶しない?」
ヤカンがコンロの上に置かれる。
「ヨハネスとアイーシャ、ペイラー………ソーマの両親とサカキとはね、とても仲が良かったの」
ジュビアは先ほどとは打って変わって静かな口調で語り始めた。
「三人とは分野は違えど研究者として尊敬しあってた。ひた向きで前向き。少しでも人間が安全に暮らせるようにと………」
「だから、私が別のハイブへ巡回に行っている間にアイーシャが死んだって聞いた時はびっくりして――――悲しかった」
「慌てて戻ってみたら研究所は全壊。生き残ったのはヨハンと、ソーマだけ。もうその時からね。ヨハンはソーマに背を向けていた」
問い詰めた。何をしたのだと。なぜ、子供に背を向けているのか。
何も答えないヨハネスの頬をひっぱたいた。
ぎゃあああんっ
切なく痛ましい泣き方だ。ジュビアも悲しくなった。
母親を求める絶望の泣き声だったから――――
「ヨハンは研究を止めた。そしてペイラーを呼び戻し、私にソーマを預け自分は準備を始めた…………アーク計画を」
「アーク計画………」
ここに来る前のことだ。月が変化した大元の大事件。秘密裏に隠蔽されたその事件は、大まかな部分しか教えて貰っていない。
アリサの部屋に白い少女の写真が飾ってあったから、聞いてみたらそんな話だったのだ。
「マターナル・デプリベーションって知ってるかしら?」
「いいえ」
「心理学用語でね、【母性的養護の喪失】という意味なの」
「母性的養護の喪失…………?」
「ヒトは生後18ヶ月の内に母親との間に愛着を持たないと心身に遅れが起きてしまうの。そして旧時代によくみられたのだけれど、サイレント・チャイルドという、感情の起伏がない子供になってしまうの………だから私は母親代わりになった。姉のように慕っていたアイーシャの子供だもの、健やかに育ってほしかった」
「ヨハンはありがたがったけどね。でもそれは実験を効率よく進めさせるため」
ソーマについての研究が始まってからは誹謗中傷の嵐。嫌がられたらその分遅くなる。だから唯一の逃げ場さえあれば我慢し、何事にも耐えられるだろうと思ったのだ、ヨハネスは。
「けれどあの子といられたのは五歳まで。それからは連絡さえもとらせてくれなかった」
「そんな酷い!」
「だからね、聞かせてほしいの。あの子はどんな風なのか」
「え、でも………私は」
まだ来たばかりの自分より、もっと適任はいる。サカキや、リンドウとか。
「随分親しげだったからてっきり付き合いが長いのかと………でも、いいの。貴女から聞きたいわ」
そう、優しい微笑みで促されたので、ややしどろもどろになりつつも語り始めた。
「私ちょっと訳あって、来たばかりの時は人を避けてました。ほとんどの人が私の扱いをもて余していた中で、ソーマは他の人と変わらない態度をとってくれました」
一歩引きぎみだった周囲の中で一番適度な距離。最も、それがソーマの普通だったのだが。それに、ソーマもその距離に安心していたことを、トオルは知らない。
「でも私が危ないことをしようとするのに、真っ先に気づいて止めてくれて、今までずぅっと守ってくれました」
「だから、そんな優しい人が………【死神】だなんて言われることが凄く、悔しいです」
誰よりも周りに気を配って、さりげなく他人を守って。そのあまりにもさりげなさすぎて、気づかなかったりしてしまう。トオルは大体後から気づいて、礼を言うのだが、きっと死神だなんて言う奴は気づいていないのだ。彼の優しさに。
「よかった………」
アイーシャからいつも聞かされていた。
『こんな時代だからこそ、愛する人とどんなときでも相手を思いやれる子供を育てたい』
人々の心は、現在の大地のようにすさんでいる。常に死の影がちらつくからだ。娯楽もほとんどない。職業だって限られている。夢なんて本当に夢幻だ。
難しいかもしれない
でも不可能ではない
だから、
「ちゃんと育ってくれてよかった………」
突然ソーマと引き離された。顔も知らない男たちに引っ張られるように連れていかれるなかで、絶望の表情のソーマが、昨日のように思い出せる。
『私は絶対に死なないから、だから忘れないで。私がソーマを愛していることを!』
だから忘れないで
人を思いやることを
ふと、意識を目の前に戻すと、トオルは泣きそうになっていた。
「っでも………!」
「ソーマは幸せね」
「………?」
「自分のことで、泣きそうになるくらい思ってくれる人がいて――――さっき集まったときもそう。気さくに接する人が沢山いたじゃない。それに、他にもいるでしょう」
「います………」
「あのね、どんなに外野がウダウダネチネチ言っても、気の許せる人がいたら、それだけで救われるものよ」
「………そうですか?」
「そういうものよ」
皆がみんな、分かりあえるものではないから。せめて身近な人だけでも、分かりあいたい。
それがヒトであると、ジュビアは思っている。
「…………お母さんってこういう風なのかな」
トオルが呟いた。
「知らない?」
「よく、わからないんです。でもお母さんの存在に憧れます」
「そう………私もトオルみたいな娘がいたら嬉しいわ」
むしろ、なっちゃう?
「?ジュビアさんはソーマのお母さんみたいなかんじでしょう?」
「ははぁ、こりゃソーマに頑張ってもらわないとダメねぇ」
「???」
「こっちの話よ。ねぇそれよりも、敬語やめない?日本語の敬語は慣れなくて」
「あぁ、英語とか外国は敬語とかないですもんね」
「そうそ。なんかムズムズするから、むしろお願いかな」
「えぇっと、じゃあ………しばらくよろしく、ジュビア」
「よろしくね」
色々と
特にあの子とか、ね
優しいあの人は
優しい雨に降られていた
私も彼に思いやりを降らせてあげたい
彼がしてくれたように――――
あとがき
ソーマの過去捏造にも程がある
けど楽しかった!
Lluvia
スペイン語で【雨】
【ジュビア】と読みます
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