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遠い遠い先には何がある?

電気の消えた部屋。外や隣に漏れない程度まで音量が上げられた音楽の中で、ソーマは無機質な音をたてる小型端末で起こされた。時刻を見てみると、午前3時。ふざけるなと言いたかったが、緊急要請だから文句など言えるわけがないし、それに他の受信者を見ると、なんとも寝起きが悪そうな名前が連なっていたため同情心が芽生えたのだ。なわけで、寝るために外していたネクタイを絞め、コートつかんで部屋を出た。勿論、部屋の音楽を消してヘッドフォンを持って。

ちょうどタイミングよく降りてきたエレベーターに乗り込むと、いかにも眠たそうなトオルとコウタが乗っていた。

「ねみぃよ~」
「アラガミの襲撃だったら覚めるのにな………」

どうやらこの二人に顔を洗って来るという選択肢はなかったようである。
うだうだとぶすくれる二人を背後に、ソーマはノックした。





「こんな時間に呼び出してすまないな」

ツバキは平時と変わらない態度であった。

「呼んだのは他でもない。お前たちには遠征に行ってもらう」
「どこにですかー?」
「本部だ」
「「………えぇ~?」」

本部はゴッドイーターや神機についての技術力の最先端で、ゴッドイーターの数もここ、極東支部と同じくらいいるのだ。

「本部にディアウス・ピター三体とウロヴォロス堕天二体が同時に襲撃した」
「うわーぉ………」
「全隊員で事にあたったが過半数の死傷者が出てな、しかもその五体は各所の結合崩壊のみで別所にて別のアラガミを襲っているそうだ」
「私たち三人で事にあたれと?」
「いや、本部の無事なゴッドイーター達とだが………主軸はお前たちになるだろうな」
「「はぁ~………」」
「で、だ。ソーマ、お前は二人を指揮・統括。遠征が終了し帰還次第、第五部隊の部隊長になってもらう」


もちょい、間
トオルとコウタは顔を見合わせて

「えぇーっ?!」
「わぁ、すごーい」

コウタは目をまん丸にして驚き、トオルもまん丸にして感嘆の声をあげた。

「第五部隊は大型アラガミ・第二種接触禁止アラガミ以上の討伐が主になる。今回はいわゆるテストみたいなものだ」
「…………」
「ソーマ………?」
「ともかくそういうわけだ。一時間後にはここを発ってもらう。それから暫く向こうでの生活が余儀なくされる。といっても新たなゴッドイーター達が入隊してくるまでだ。近々各支部に五名以上投入される予定だ。多く見積もっても二週間前後。必要物品は言えば揃えてくれるそうだ」

「以上、解散。あぁ、ソーマは残れ」





新人区画まで、トオルとコウタは黙ったまま進んだ。しかし、自販機で各々の飲み物を買って側のソファに落ち着くと、コウタがポツリと呟いた。

「これってさ………出世になんのかな」
「さぁ、ね………嬉しくないの?」
「あんまりね。だってさ、任務内容がさぁ、すっげー危険じゃん?」
「そうねぇ。一瞬でも気を抜いたら死ぬわね」
「俺が死んじゃったらさ………母さんと妹が路頭に迷っちゃうんだよね」
「死なない努力はするんでしょ?」
「当たり前じゃん!」
「なら頑張ってよ、死なないように。守ってあげるから。死なないように頑張れば私も協力するよ?敵が向かっていかないようにするよ?ソーマも、そうしてくれるよ」
「………死にたくない。死ねないんだ」
「知ってるよ。家族思いだもの」
「協力してくれるか?」
「当たり前でしょ。部隊だのなんだのの前に、1人の人間としてね」

それじゃあ一時間後に、とそれぞれの部屋に戻っていった。





さて、一方支部長室。

「不満そうだな」
「…………コウタには、家族がいるだろ」
「私とて、苦渋の決断だったよ」

ツバキは重苦しいため息をついた。

「まぁ、座れ」

ソーマを質のよいソファに進めて、自身も二人分の間を開けて座った。これがこの二人のちょうどよい隙間。

「第五部隊はな、上からの命令だ。お前とトオルを確実に入れろ、と言われた」
「………なぜ」
「本部が何を考えているのかわからない。だからこそ、他の人間も入れていいと言われたとき、コウタが一番適任だと思った。コウタは家族や仲間思いが強いから、周りの異変によく気づく………何かしらの思惑が動けば、一番に気づくのはアイツだ」
「思惑、か」
「おそらくトオルだろう。いくら偏食因子が注入されたからといって、男のゴッドイーターに勝るほどの身体能力。サカキがいくら本当の事実を隠匿しようと、目に見える結果は隠しきれない」
「――――ちっ」
「一歩踏み間違えたら、トオルの技術は恐ろしいぞ」

トオルは特定の人物に成りきらせるために、その人物――――ハルカが今までに生得(せいとく。生まれた時から得ている能力)・習得してきたものを教え込まれた。それは他愛のない日常生活に関すること。食べ方だったり、話し方だったりである。
もし、教えられたことが戦い方や命令を聞くことのみだったら?

死をも恐れない兵器になっていただろう

「正直、トオルの細胞がどうなっているのか、私は完全に理解出来ていない。だが、微量ながらも偏食因子を確認出来たということは少なからずソーマと似ているのだろうな」



「トオルを守ってやれよ。せっかく私たちを信じてくれたのに、また辛い思いをさせたくない」





数少ない鳥達が鳴く頃、東の空もやや明るくなってきた時に出発した。見送りにはツバキとサカキ、そして叩き起こされた感丸出しのリンドウ。手を振る三人に、トオルとコウタも手を降り返した。長距離用ヘリはあっという間にお互いを見えなくした。
ヘリは一旦ロシア支部にてガソリンを補充した後すぐ中央――――本部へと飛んでいくことになっている。約九時間のフライトはかなりキツく、また到着とともにすぐ大型の討伐のため、トオルは乗り込んで暫くしてからぐっすりと眠っていた。しかし、ソーマとコウタはボソボソと話している。さきほどツバキから聞かされた話をコウタに伝えているのだ。

「そうか………」
「トオルに気づかれないように、それとなく気をつけてくれりゃあいい」
「トオルに言わないのか?」

なるべくこの三人で固まっていれば、特に関係のないコウタさえいれば、本部とてそう易々と手出しは出来ないはずだ。

「ヘタに打ち合わせをして、普段が変わるとそれだけボロが出る………それにコイツは聡い奴だ。こっちの動きに対応する」
「へぇ………うん、わかったよ。気をつける。なんせあの抜け道を見つけたのは俺だぜ!」

きゃんきゃんと興奮して喋り出したコウタに、ソーマは片眉をあげてうっすらと苦笑したことに、コウタは気づかない。

「つーか、さっきソーマ………」
「コウタ、あのハッチ開けてこい」
「え、なんで?」
「いいから」

そういいおいてソーマは背を向けてしまった。渋々コウタはハッチ(出入口)を開ける作業をし始める。





「トオル」

眠りこけるトオルを起こしにかかるが、ただ声をかけただけではなかなか目を覚まさない。

「………トオル」

肩を揺さぶっても健やかな眠りについたまま。

「――――時間だ」

ぱちり

「もう着いたの?」

討伐時に、ソーマがよく言う言葉で起きた。
キョロキョロと見回すトオルの腕を引っ張って、今まさにコウタが開けようとしていたハッチを勢いよく開いた。

「うわぁ………!」
「すっげー!」

空は見渡す限り、地平線まで雲ひとつない青空。そして地表は真っ白という、幻想的な景色が広がっていた。

「これが、本当の空………」
「よく知ってたな、こんな景色」
「…………初任務地だったからな」
「どんな内容だったの?」
「小型・大型の大群討伐」
「………一人でか?」
「リンドウとツバキもいた」

バサバサと服や髪が突風で乱れるなか、景色は変わらない。延々と青と白の世界。





「ていうか、覚えててくれたんだ」
「…………たまたまだ」
「え、なになに?」

意味深な会話に、コウタの好奇心がうずいた。

「この間ね、一緒に月見してた時に青い空を見てみたいなぁなんて呟いたんだけど」
「へえぇえ~………」

横目でソーマを見やると、そっぽを向いているためどんな顔をしているのかわからない。

「ふふふ♪ありがとうね、ソーマ!」

そっぽを向いているソーマに満面の笑顔をするトオル。

「…………どういたしまして」





青と白の景色は終わり、退廃した現実が戻る頃にはそろそろロシア支部に着くときになっていた。
が、ソーマとトオルはお互いに寄り添って眠っている。そしてそれを眺めるコウタ。

「別に付き合ってるわけじゃないし、好き合ってるわけじゃないんだよな………?」

というわりにはよく任務に行くし、食事を一緒にとっていた場面も見たことがある。

「友達、親友、戦友?…………にしちゃあ親密すぎるよなぁ」

あえて言うならば、兄弟に近い。

「でもソーマは、たまに違ったりするんだよなぁ」

時に女として扱う時も見え隠れしている。

「本人たちも、わかってないっつーか、このことにさえ気づいてないっぽいな………まぁ、いっか」

どうにかなるときは、どうにかなるだろうと、残り少ない時間を睡眠にあてることにした。





はてしなく青い空を見た
(思惑が見えない)





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