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ソーマ(→)+女主
バーストネタありなので、最後まで未プレイの方は注意!




「サツキさ、最近ソロが多いってな」

騒がしい食堂で、たまたま相席になったタクマおもむろにそう口に出した。

「しかもSSS+を叩き出すまでやってると」
「なんで知ってるの?」
「あのな、俺はリーダーなんだから。不審なことには追及しなくちゃダメなんだよ」
「ふぅん、そんなに不思議?ジャイアントコーン」
「ああ、まったくもって謎だよ。なんでこんなにウマイんだ………って、オイコラ」
「死んだりしないから、心配しないで」

ボケるタクマを置いて逃げるように食堂を出ていってしまう。

「………ったく」

やれやれとため息をついて、おもむろに携帯端末を取り出しどこかへとかけはじめ、

「悪い、逃げられた。後よろしく」

単発で任務を受けているというもともとの情報源に後を託し、楽しみにとっておいたコーンにかぶりつくことにした。




「一体どういう状況なのかな、これは」
「わからないか?」
「人気のない廊下で襲われそうになってる」
「馬鹿か。問い質してんだよ」

サツキの言うように、エントランスで新たな任務を受注しようとしたら、ソーマに無理矢理腕を引かれて人気のない廊下まで連れてこられた。今、ソーマの両腕に挟まれて逃げることが出来ない状態である。

「で、なんだっけ」
「なに無茶してんだ」
「ああ、ソロのこと。気にしなくてもいいのに」
「死ぬぞ。死にてぇのか」
「タクヤにも言ったけど、そんなつもりはないから。あと、顔近いよ」
「視線を反らすからだろ」
「………悪いことなの?」

すました態度から一変し、悲しそうな表情と声色でソーマを見上げると、若干顔を赤らめながら頭を離した。

「何があった」
「なにもないよ。ただちょっと挑戦してみたいだけ」
「なぜそんな気になったのか、聞いてんだよ」
「きっかけなんてない。………いつだってそうよ。小さなことの積み重ねなの。………もういいでしょ。どいて」

頑なに返答を拒むサツキが、らしくなくてソーマは逆に冷静を取り戻す。

「――――どうした?」

優しく、なるべく責めるような言い方ではなく。



「強く、なりたいの」






いつだって私は置いてきぼりなの。




リンドウさんがMIAになった時も
シオちゃんがやってきた時も
みんながバラバラになってしまったときも

私は待っていただけ

絶望も
戸惑いも
悲しみも

いつも私は後から

待っていることしか出来ない私

それに皆は
あれから色んな思いを乗り越えていった

絶望するのではなく、希望を持つこと
戸惑うのではなく、受け入れること
すれ違いを悲しむのではなく、理解しあうこと
それから自分と向き合って行くこと

私は立ち止まったまま



「強くなりたい。私はタクマみたいに人をまとめることなんて出来ないし、コウタみたいに観察力なんてないし、アリサみたいに弱い部分を見つめ直すことなんて出来ないし、ソーマみたいに自分を使いこなすことなんて出来ない。ただ新型なだけの、平均的なゴッドイーターの私がなんで第一部隊(ここ)にいるんだろう………」

だからせめて、戦歴だけは誰よりもよくなりたかった。

「ね?小さいことの積み重ねなのよ」

いつの間にかソーマの腕は下ろされて、道が出来ている。逃げるようにその場を立ち去った。




再びエントランスに戻ってきて、やっとはりつめた肩を下ろす。
言うつもりはなかった。ほっといてほしい。死ぬ気はさらさらないのだから。

「強くなりたいの………置いていかれるのはもう嫌だ――――」

『緊急収集!緊急収集!嘆きの平原にてウロヴォロスが進撃中!繰り返します嘆きの平原にて――――』

「ヒバリさん!」
「登録開始します。サツキさんと………ソーマさんもですね」
「え?」

サツキの背後にはいかにも不機嫌な表情のソーマが立っていた。

「さっさと行くぞ」
「登録完了しました。お二人ともお気をつけて!」

また腕を捕まれて引っ張られるように連れていかれて行く。




「………ソーマって、意外とお節介だよね」

プロペラの激しい音にかき消されそうな言葉でも難なく聞き取ることができるソーマの耳は、それを拾った。

「ほっといていいのに」

沈澱した空気の中、標的へと向かう。





さすがに一人で任務にあたっていたためか、回避率が半端なく高かった。むしろソーマより身軽な分、下手したらソーマより高いかもしれない。しかし、##NAME1##は不満そうだった。

「なんで、帰投連絡しないの」
「話がある」

ウロヴォロスのコアを食べてついでに素材も回収して、雨は冷たいからなるべく長くいたくないのに許してくれないらしい。

「強くなりたいらしいな」
「なりたい。なるの」
「………今でも十分だと思うが」

理解不能というソーマに対し、サツキもわけがわからないと返す。

「お前は誰よりも肝が据わってるだろ」




『おかえりなさい』

リンドウを置いて帰投した時、笑顔でそう言った。

『帰って来てくれてありがとう』

怖かっただろうに。二つのチームがブッキングの上に、途中で連絡が途絶えて大量のアラガミと交戦中だとか、現場から離れたアナグラでは何が真実かわからなくて、第一部隊はサツキ以外全滅だなんて交わされた中、気丈に待っていたと聞いた。

『大丈夫。だって自分の出した命令だよ?自分で違反したら示しがつかないじゃない。帰ってくるよ』

リンドウがKIAと認定されてからは言わなくなったが、いつだったか、

『腕輪と神機が見つかっただけでしょ?ならまだ可能性はあるじゃない。祈り信じよ、されば救われん――――カミサマなんて信じてないけど、私は私の信念を信じる』

と言っていた。確かにリンドウの生が正式発表された時、それが当然のごとくすまして聞いていたを見ている。

『アラガミ化かぁ………死ぬことよりマシだよ』




『はじめまして!』

シオを連れ帰ったとき、俺たちはまだ困惑がとかれなかったのにも関わらず、笑って出迎えた。異様な肌の白さや髪質、爪や指の長さからヒトではないと明らかであったにも、である。

『ヒト型のアラガミ?ふぅん。名前は?ないの。まぁいいや。私はサツキだよ』

シオへの戸惑いが無くなったのはサツキの分け隔てのない接し方のおかげなのだ。




『皆、自分の信念で動いてる。でもそれはとても危ういものだ。だから私はここにいる。ここが始まりの場所だから、戻る指標がないと困るでしょう?』

方舟に乗るとも乗らないとも言わず、こうこぼした。取りようによっては(むしろ大部分は)乗らないと言っているようにとらえることができるが。

『ここにいるよ』

待っているのではなく、ただいるのだと。





本当は全部、待っていたのだろう。
全て理解して、その上で見守っていたのだろう。




「自分から動けないだけよ。………臆病なの」
「――――そうか?」

待つ、というのは随分と気が長いことだと思う。いつ帰ってくるのか、もしかしたら帰ってこないかもしれないのを。
それだけ信頼しているのではないだろうか?

「俺は、強い、と思う。そう簡単に弱いなんて、認められるモンじゃねぇだろ」
「そうかな………」
「それと言っておくが、ソロであまり成績がいいと、特務が入ったり、他支部飛ばされることもあるからな」
「え………それは困るなぁ」
「強いだの弱いだの。そんなんどうでもいいだろ。置いていかれるってんなら、



俺が無理矢理にでも引っ張ってやる」



どこまでも付きまとって
そして離さない。




「さ、行こうか」
「ああ」

背中合わせの死闘
信じあっている証

死なないで
共に君と戦(いき)よう




好きだと
まだ言えない



お前の望みを叶えてから






あとがき
知りきれとんぼもいいとこだ
ぐにゃーっ
甘いの書きたい~っ><

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